記事更新日2016-08-19 (金) 18:29:54

ネットワークビジネスの低迷


MLMとピラミッド商法との混在に悩む



 
消費者(愛用者)が販売員も兼ねている―という新しいマーケティング

理論を引っ提げて1940年代に登場したネットワークビジネスは、

第二次世界大戦後のアメリカで次々と起業家が現れ、活況を呈する

ことになった。

後にネットワークビジネスの代表的企業に成長するいくつかの会社が、

1950年代の終わりから60年代にかけて誕生しているが、一方で

ネットワークビジネスの仕組みを悪用したビジネスもこの時期に

蔓延することとなった。

 

1960年代の後半、この業界に一人の天才的な男が現れた。

傘下に多数の企業を要するターナーエンタープライズの総帥

グレン・ターナーである。

彼は「自己の確信する夢は叶えられる」

という独自の成功理論を展開、巧みなミーティング手法によって、

多数の参加者を集める消費者参加型のビジネスを始めた。

彼の下には何万人もの人が集まり、彼の提唱する成功理論に魅了された。

アメリカには鉄鋼王A・カーネギーの『富の福音』をはじめ、

バイブルや深層心理学に

基礎をおいた幾多の成功理論が存在する。

ターナーもおそらくこの理論を応用したものと思われる。

 

アメリカの成功理論は自己啓発効果があり、今日でも高く

評価されている。

ゆえにこの種の理論を用いたことではターナーを非難する

ことはできない。

また、彼はマインドコントロールの手法を用いたというが、

宗教でもビジネスでも一種のマインドコントロールが日常的に

行なわれている。

問題はターナーエンタープライズの商品にあった。

ネットワークビジネスの基本は

「親しい人にすすめる価値のある良質な商品」

前提だが、彼の会社が扱った商品は粗悪なものばかりで、中

には商品が存在しないケースもあった。

このやり方はわが国のネズミ講とあまり変わらない。

つまり、参加者を勧誘し、ビジネス登録料、タイトル獲得料、

権利金などいろんな名目をつけて、実質的に多額の出資をさせ、

集めた金を上位者が山分けしてしまうのである。


 
ピラミッド商法では経済的損失を被る者が続出したが、当時の

アメリカにはまだこの種の商法を取り締まる法律が存在しな

かったため、ターナーの手法を使って人集めをする企業が次々と

誕生、正当なビジネスをしているネットワークビジネス企業も疑い

の目で見られるようになった。

 

1960年代にはホリディマジック、ベストラインなどピラミッド商法

の代表的企業が出現し多くの参加者を獲得するが、ホリディマジックは

1973年に「非良心的で詐欺的商法」として、出資金の全額返還と

賠償を命じられた。

この頃からアメリカではピラミッド商法の規制へと動き出すが、

業界内の詳しい事情をまだよく理解してなかったアメリカの司法、

行政当局はピラミッド商法に網を被せるつもりでネットワークビジネス

も規制の対象にしてしまったのである。
 
1970年代のネットワークビジネスは停滞を余儀なくされた。


ピラミッド商法が社会問題化して行政や司法の介入事例が増

えるにつれ、「よく似た商法」

としてその影響を受けざるを得なかったからである。

中にはネットワークビジネスで立上げながら、ピラミッド商法へと

移行した企業もあった。

仕組みが似ているということは、容易にどちらにでも転換できるからだ。

ピラミッド商法に転換した企業は当局に摘発されたり、組織の崩壊で

存続不能になっていった。


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