記事更新日2016-08-19 (金) 18:29:55

ネットワークビジネスへの誤解


タイミングの悪さがさらに誤解を生む


 
人間には、後から振り返って「なぜあんなことに熱を上げたのか」

自ら不思議に思うようなことにのめり込む癖がある。


アメリカからピラミッド商法が上陸した時期は、日本でも

類似商法が蔓延しており、多くの人々が熱に浮かされたよう

に参加していた。

 
その意味でピラミッド商法にとって1970年代の上陸は絶好のタイミングであり、


ネットワークビジネスにとっては最悪のタイミングであった

といってよいだろう。

その後遺症は長く続くことになる。


胡散臭い顔

  • 「ネットワークビジネスというのは、前にマルチ商法と呼ばれていた商法だろう。マルチ商法はネズミ講と一緒のはず。いくら呼称を変えても仕組みをいじっても、根本はネズミ講の変形にすぎない」

 

日本ではいまだにこういう誤解をしている人が沢山いる。

さすがにここまで誤解する人は減少してきているが、なぜ誤解が

生じたかを、もう少し詳しく見ていくことにしよう。


それがわかればネットワークビジネスの正しい理解に役立つと

思われるからだ。
 
先に述べたように、日本にいわゆるマルチ商法(ピラミッド商法)が

上陸したのは1970年代のことである。


ところが日本では数年前からネズミ講で急速に会員数を伸ばして

いる組織があった。

1967年に発足した「天下一家の会」(第一相互研究所、内村健一会長)である。

  • 天下一家の会事件(てんかいっかのかいじけん)とは、内村健一による無限連鎖講(以下ネズミ講と表記)事件である。名義上は内村健一の主宰する第一相互経済研究所が主宰するものであったものの、後述するように内村の個人事業に等しいものであったことから、実際には内村の主宰したネズミ講と捉えられている。



ネズミ講とは、先に加入した会員が、後から加入した会員が

出した金品(金銭および有価証券など)を受け取れることを内容とした

金品配当組織のことである。

会員がネズミ算的に増えていくことから、この名で呼ばれる

ようになった。

   

ネズミ講では、かりに一人の会員が二人づつ子会員を増やしていくと、

二十七代目で一億人を超え、破綻することは目に見えている。

今は「無限連鎖講防止法」(1979年施行)

によって、これら講組織の開設、運営、勧誘の一切が禁止されている。


しかし「天下一家の会」発足時には、取り締まる法律がなく、実際に

出資金を上回る金品を受け取る者が大勢いたので、射幸心にあおら

れた人々が競って参加1970年には参加者が40万人にも達していた。

(この会は禁止されるまでに100万人の参加者を獲得したといわれる)

もう一つピラミッド商法にとって好都合だったのは、SF商法

という新手の詐偽まがい商法が登場していたことである。

密室性の高い場所に人々を集めて、巧みな話術で雰囲気を盛り上げ、

定額商品を無料で配って信頼させ、高額商品を買わせる商法で、別名

「催眠商法」とも呼ばれていた。

 

前にアメリカのピラミッド商法が、グレン・ターナーという天才的話術

の男の出現によって繁栄したという話をしたが、SF商法にも

ターナーに似た人物がいてこの人物の主宰する会社はほんの一時だが

従業員数千人を抱える大企業に成長した。

この会社はまもなく倒産するが(計画倒産の疑いが濃厚)、手法

を学んだ関係者が、折りから上陸してきたアメリカ生まれの

ピラミッド商法へ流れた事実も見逃せない。

SF商法の手法とその関係者が加わることで、ピラミッド商法の

説明会場は、いつも伸び盛りの新興宗教にも似た熱気を帯び、

「儲けたい」という願望を持った人々を酔わせた。


ネズミ講もピラミッド商法も、その組織に加入した人が勧誘者と

なって、身近な人間を誘うという連鎖的手法では共通している。

そしてネットワークビジネスもまた、連鎖的という点では、

これらの商法と共通点を持つのである。

この一点がネットワークビジネスの誤解を生じる最大の問題点であるといえる。


 
だがネットワークビジネスとネズミ講は明確に区別できる。

ネズミ講は商品を介在させず、またネットワークビジネスが有限連鎖

なのに対して、ネズミ講は無限連鎖だからである。

それよりも今日に至るまで依然として難しいのは、

ピラミッド商法とネットワークビジネスの区別のほうである。

 
もともと同じ頃に誕生し、手法もほとんど同一でありながら、

ネットワークビジネスとピラミッド商法が天地の違いを生じさせた

のは、ひとえに運営する人間の志の差であったといっていい

かも知れない。


ネットワークビジネスは「よい商品を可能な限り安い価格で普及すること」

を目指して消費者参加型のビジネススタイルを創始したが、

皮肉なことにこのシステムは短期間に大金を獲得したいという

考えの人間にも通用するものだった。

そして文字通りそれを実行して見せたのがピラミッド商法なのである。


だからピラミッド商法の会社が、ネットワークビジネスを名乗って

営業することは簡単にできる。

そういう会社はおおむね長続きせずに消えていくしかないが、また

簡単に出現してくる。


そして、残した悪評の影響をネットワークビジネスが一身に受ける―

こういう構図がずっと続いてきたのである。



また、最初はネットワークビジネスの仕組みで合法的にスタートし

た会社が、途中からピラミッド商法的な手法を取り入れる

こともある。

それはネットワークビジネスを主宰する会社が背に腹をかえられ

ないで手を染めてしまうこともあるし、会社は真っ当なビジネスを

しているのに、参加しているディストリビューターが制度を悪用

してしまう場合もある。

 
1976年の「訪問販売法」、1979年の「無限連鎖講防止法」と二つの新しい法律が施行

されたことで、違法性の高いピラミッド商法の会社、ネズミ講組織

は急速に衰微した。


かわってクローズアップされてきたのが、正しい商法を展開してきた

ネットワークビジネス企業であったのはいうまでもない。

出典/クチコミと人財が会社を変える(ダイヤモンド社・刊)

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